設定しており、公的な職にある場合において個人名が記載されていても開示の対象となるのに対し、個人情報保護法では、「個人に関する情報」という広い定義になっているため、このような情報の開示請求に対して、2法の間で矛盾が生じてしまうこととなる。
一方、地方公共団体における情報2法の制定経過は既述のとおり、情報公開条例が先行し、個人情報保護条例が続くという例が多いが、2条例の内容には地方公共団体による相違がある。いずれにしても、多くの地方公共団体において以下のような対応策が必要とされる点では一致している。
* 未だ、2条例の両方を制定している団体は多くなく、今後の制定が必要である。
* 紙による個人情報の保護を保護の対象に入れている場合と入れていない場合があり、取扱いに違いが生じている。
* 既存の情報公開条例の理念が旧式なものであり、国の要綱で示されたものとは隔たりが大きいものが大半である。すなわち、国の要綱では、原則公開で不開示は例外としてその範囲が限定的に明記されるというものであるが、条例においては、公開される範囲が行政側の判断による場合のものが多い。国の情報公開法が制定されれば、地方公共団体は既存の条例の改正が求められることになろう。
* 個人情報保護条例の大半が、いわゆる、オンライン結合禁止条項を有し、それが地方公共団体間のネットワークを妨げてきた経緯があることは第3章で既述のとおりである。今後、ネットワークを活用した国・地方を通じたシームレスな情報伝達、行政サービスの実現を図るためには、この条項の見直しが必須である。
以上のように情報2条例は地方公共団体にとって両輪のような関係にあるが、そのほとんどの場合、制定の経緯が異なることもあり、両者の整合性が確保されている状況にはない。
ネットワーク社会における個人認証制度の確立は、今後の行政サービスの提供における本人確認という手続のためにも必須であることは、第3章で既述のとおりである。個人情報の保護という観点からも早急な検討と具体的な対策の確立が必要であることも既述のとおりである。
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